統計からわかる効果的な子供の教育法
どーもP-okaです。
前回は私のしょうもない自己紹介で終わってしまいましたが、今回から本格的に中身のある内容を書いていきます。
最初に謝っておきたいのですが、まだはじめてばかりで見やすいレイアウトの作り方や写真の挿入等どんな機能があるのか把握してないので少し読みづらくなってすみません。
今後どんどん向上させていきたいと思いますのでご了承ください。
今日の話は「統計からわかる効果的な子供の教育方法」ということで、これから子育てを経験していくことになるような若い人達にはぜひ知って欲しい内容です。
まず初めに今から5つの問題を出しますので、皆さんも一緒に考えてみてください。
1 子供にご褒美を与えて勉強させる場合、「テストでいい点をとる」、「本を1冊読む」のどちら条件が学力を上げるのに効果的か。
2 子供が良い成績をとった時、「頭がよくてできる子ね」、「よく頑張ったわね」どちらのほめ方をしたほうが良い影響があるか。
3 テレビやゲームに費やす時間が多い子供程、その時間を制限すれば成績に良い効果でるか。
4 親が子供の勉強に関わる時、①勉強したかを確認している、②勉強を見ている、③勉強する時間を決めて守らせている、④勉強するようにいう、の4つのうち父親、母親はそれぞれどれを選択するのが一番効果的か。
5 子供の教育にお金をかけるとした場合、どの時期に投資をするのが一番高い効果が出やすいか。
どうでしょうか。全てすんなり答えられた人は将来優秀な子供を育てられる、もしくわ育ててきた人かも知れませんね。
ちなみに今回の話は私が大学4年生の時に読んで衝撃を受けた「学力の経済学」という本をもとにしています。
興味がある人はぜひそちらも読んでみてください。
私はこの本を読んだ影響で教育経済学に関する卒論も書きました。
今はベストセラーでどこの本屋でも見かけるほどです。
(このはてなブログは簡単にリンク貼り付けできる機能がついてたのでつけましたがアフィリエイトとか金儲けのつもりは一切ないのでその点はご心配なく)
ではひとつひとつ確認していきましょう。
1 子供にご褒美を与えて勉強させる場合、「テストでいい点をとる」、「本を1冊読む」のどちら条件が学力をあげるのに効果的か。
結論から言うと、「本を1冊読む」という条件に対してご褒美を与えるほうが子供の学力に高い効果があることがハーバード大学のフライヤー教授の実験から明らかになっています。
フライヤー教授が実施した実験は、大きく分けると2種類ありました。
ひとつは、ニューヨークやシカゴで行われたもので、教育生産関数でいうところの「アウトプット」、すなわち学力テストや通知表の成績などをよくすることにご褒美を与えるというものです。「テストでよい点を取ればご褒美をあげます」はこちらに該当します。
もうひとつはダラス、ワシントンDC、ヒューストンで行われたもので、教育生産関数における「インプット」、すなわち本を読む、宿題を終える、学校にちゃんと出席する、制服を着るなどのことにご褒美を与えるというものです。「本を1冊読んだらご褒美をあげます」はこちらに該当します。
一見するとテストでよい点を取るといったアウトプットに対して与えるほうが学力を高めるのに直接的に効果がありそうですが、統計データからはほとんど学力向上の効果がみられませんでした。反対にインプットに対して、特に本を読んだことに対して褒美を与えた子には顕著に学力向上の効果があったそうです。
このように差が出る要因としてはインプットの場合子供はやることが明確で行動しやすいが、アウトプットの場合例えばテストで良い点をとるためにはどうすればいいだろうかということを考える必要があり、子供にとってはそれが難しいからだと述べられています。
統計からわかる教訓としては子供がDS欲しい!スマホが欲しい!などと言ってきた時、親としてはテストで90点を取ったらとかではなく、本を1冊きちんと読んだら、この問題集を3週解いたら買ってあげるというふうに言ってあげたほうがいいということなんですね。
(ゲーム、スマホにはまり過ぎてしまったら元も子もないですが・・・笑)
ちなみに「ヤバイ経済学」という本の著者レヴィット教授の実験では、小学生までは安物でもトロフィーといった子供が喜ぶお金以外のもの、中高生には金銭のご褒美を与えたほうが効果があるそうです。
- 作者: スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー,望月衛
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フライヤー教授の実験には続きがあってアウトプットのご褒美でもどうすればテストの点数を上げられるか、勉強の仕方を教えてくれる指導者がいてきちんと導いてくれれば学力の向上につながるそうです。予告ですが効果的な勉強の仕方に関しては次回以降で書いて行きたいと思います。
2 子供が良い成績をとった時、「頭がよくてできる子ね」、「よく頑張ったわね」どちらのほめ方をしたほうが良い影響があるか。
この場合「よく頑張ったわね」と褒めたほうが子供の学力に良い影響があることがわかっています。
2番目に関しても主に二つに分けられていますが、「頭がよくてできる子ね」と褒めることは大まかに言えば子供の才能ですとか能力に対して褒めています。一方「よく頑張ったわね」と褒めることは子供の努力に対して褒めています。
米国でこの二つの方法で子どもを褒めた場合の違いを確かめた実験がなされました。
コロンビア大学のミューラー教授らは、ある公立小学校の生徒を対象にして「ほめ方」にかんする実験を行いました。6回にわたるこの実験の結果わかったことは、「子どものもともとの能力(=頭のよさ)をほめると、子どもたちは意欲を失い、成績が低下する」ということです。
能力を褒めるとかえって成績が下がってしまうそうですね。
実験の結果が以下のようになっています。
(視覚化したほうがわかりやすいと思ってExcelで簡易的に作ったのですがビジュアルがしょぼいのはご勘弁を(ToT))
(※縦軸は問題の正答数)
(ミューラー教授らの実験詳細)(("praise for intelligence can undermaine children`s motivation")を参考に筆者が作成)
IQテストで試したそうですが、1回目のテストの後、褒め方の違いでその後のテストでは大きく結果が異なってくることが統計データの結果として出ています。また能力を褒めた子に関しては努力を褒めた子に比べて成績について嘘をつく割合も増え、試験のゴールは成績だ!なんてちょっと可愛げのないことをいう傾向にあるようです(笑)。
努力を褒められた子は2回目、3回目のテストでも粘り強く問題を解こうと挑戦し、悪い成績をとった場合も「これは努力が足りなかったせいだ」と考えるようになるそうです。
統計データの結果からいえば、子供を褒めてあげるとき「君には才能がある」とか「お前はできる子だ」とかではなく、「1時間も勉強してよく頑張ったね」とか「遅刻や欠席もしなくてえらかったね」などと具体的に達成したことを言ってあげたほうが子供は伸びるということですね。
3 テレビやゲームに費やす時間が多い子供程、その時間を制限すれば成績に良い効果でるか。
答えはノーです。
細かいことを言えばテレビ・ゲームの時間を減らせば勉強時間は増えたのですが、その効果はテレビ・ゲームを1時間減らして勉強時間は数分増える程度だったそうです。
テレビ・ゲームに時間を多く費やしている子供程、それらを親が無理やり制限したとしてもインターネットやスマホで動画を見るなどの代替されるため、机に座って勉強するようにはならないということです。
ちなみに一日テレビ・ゲームに一切費やさなかった場合と、1時間程度費やした場合ではほとんど変化はなかったとのことです。
しかし2時間を超えると学習時間に負の影響が出てくるのだとか。
ただここでしっかり認識しておかないといけないのが、テレビをみたりゲームをすることが直接学力低下に繋がるわけではありません。
テレビ・ゲームに多くの時間を費やす子ほど学習時間が短い、成績が低い傾向(相関関係)があるだけでテレビを見る・ゲームをする→成績が低くなる(因果関係)ではないんです。
なのでテレビ・ゲームに費やす時間が多い子供の成績を上げたいのであれば制限させるよりも学習時間を確保させることが先決なんですね。
4 親が子供の勉強に関わる時、①勉強したかを確認している、②勉強を見ている、③勉強する時間を決めて守らせている、④勉強するようにいう、の4つのうち父親、母親はそれぞれどれを選択するのが一番効果的か。
この答えは父親、母親で答えが別れます。
「学力の経済学」著者の中室牧子さんの実験のようですが、
母親に関しては、③勉強する時間を決めて守らせることが一番子供の学習効果が高いです。
一方父親の場合、②勉強を見ているが一番効果があるという結論に至っています。
ただ他が一切効果がないというわけではないので少しまとめてみます。
母親
①勉強したかを確認している ○
②勉強を見ている ○
③勉強する時間を決めて守らせている ◎
④勉強するようにいう ×
①勉強したかを確認している ×
②勉強を見ている ◎
③勉強する時間を決めて守らせている ○
④勉強するようにいう △
この結果を見ると面白いですよね。例えば①なんか母親が子供に勉強したかを確認するのには高い効果があるのに父親が同じことをしても全然効果がないんですよね。
またもうひとつおもしろいことに、女の子に対しては母親が、男の子に対しては父親が、つまり同性どうしの親子が勉強に関わったほうが高い学習効果が出ているのです。
(私は父親に勉強を教えてもらうことは一切ありませんでしたが、実験結果通り賢くはなれませんでしたね(T_T)(笑))
ちなみに苦手科目を教える時も同性の先生・生徒の組み合わせの方が有効だそうです。
なのでこの実験結果を知った男性・女性はぜひ自分に子供が出来たときの自分が子供に対して有効な方法を覚えておくとよいかと思います。
ただ子供が娘だから父親は何もしなくていいというわけではないのでそこは注意を。
5 子供の教育にお金をかけるとした場合、どの時期に投資をするのが一番高い効果が出やすいか。
答えは子供が小さい時ほど効果が高いのです。
5番に関しては私が一番声に出して皆さんに伝えたいことでもあります。
ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・J・ヘックマンの約40年間にも渡る実験で衝撃的な結果がわかっています。それがペリー幼稚園プログラムを用いた実験です。
内容は以下のようなものになっています。
ペリー幼稚園プログラム |
|
ランダムに選ばれペリー幼稚園に入園した子供と選ばれなかった子供を対照に その後の効果を約40年間に渡り調査 |
当園のプログラムとして、 |
・幼稚園の先生は、博士号以上の学位を持つ児童心理学等の専門家に限定 |
・子供を6人を先生1人が担当するという少人数制 |
・午前中に約2.5時間の読み書きや歌などのレッスンを週に5日、2年間受講 |
・1週間につき1.5時間の家庭訪問。親にも子供の関わり方を学ばせる。 |
といった手厚い就学前教育を30週間に渡り提供。
ペリー幼稚園に入園した子供はそうでない子供に比べて 学歴・年収・雇用・非認知能力・学校退率・生活保護の受給率・持ち家・犯罪率に良い効果が得られた。 |
(出所)ジェームズ・J・ヘックマン「幼児教育の経済学」(2015)より取得し、筆者が作成
プログラムの内容については上記を参考にしていただきたいのですが、注目すべきは幼少期にこのプログラムにたった30週間(約7ヶ月ちょっと)参加した子がそうでない子と比べて40年間経過観察した結果さまざまな面でプラスの効果があるということです。
※非認知能力とは忍耐力・社交性・好奇心などのことだそうです。
学歴や年収だけならまだしも、生活保護を受ける人や犯罪を犯す人の低下といった面でも効果があるというのは驚きですよね。
ヘックマンさんによると就学前(小学校入学前)の子供に対する教育が特に重要なんだと述べられています。
教育といっても早い段階で算数を学ばせるとか単に学問ではなく、子供と積極的に会話したり絵本の読み聞かせ、外でボール遊びをさせるなど刺激的なことをさせることでも脳の発達に非常に良いそうです。
子供を放置する親とそうでない親の子供の脳を比べると発達に大きく差がでると言われています。
なので子供を持つ若い親には、子育てって本当に大変だと思いますが、子供の将来のためにもなんとかぜひ頑張っていただきたいものです。
4番5番の問題にあるような子供との勉強の関わり方や小さいときにしっかり教育したほうが効果が高いというのは親じゃないとって訳ではなく、塾の先生や親戚といった第3者が任されても効果はほとんど変わらないみたいなので、共働きで忙しくて熱心に子育てする余裕がないという人は多少お金を払ってでも他者を頼ったりしていくのがよいのかなと思います。
以上が冒頭で出した問題の答えとなります。
思った以上に長くなってしまったけど、まだ全然細かい内容を伝えきれてないので気になる方はぜひ本を買って読んで見てください。
この本のいいところはきちんと実験から得られた結果をもとに教育を語っているという点です。
日本では何故か教育に関しては統計ではなく長年教育に携わったおじさんの根拠もないのに偉そうに話した方法が正しいとか、私の経験ではとか、とにかく主観的な議論がなされる傾向にあり客観的なデータを用いることに乏しく日本の教育は諸外国に比べて遅れていると言われているのです。
著者は主観的な議論で政策をきめて税金を無駄遣いするのではなく、教育にエビデンス(証拠、根拠)をということを強く主張しています。
この本に載っているのは外国での実験が多く、100%日本でも同じ結果になるとは言い切れませんが、実践するのには十分価値があるのではないかと思います。
以上P-okaブログでしたー